「皮膚、人間のすべてを語る」 著者:モンティ・ライマン

読書記録

おすすめ度

★★★★★ (5/5)

内容

みなさんは普段、皮膚について考えたことはありますか??

私の場合、鏡を見て「なかなかニキビが治らないなー」、「シミ増えたなー」と思い、悩むことがよくあります。

特に最近は肌荒れがひどく、スキンケアの勉強をしようと思い本書を手に取りました。

本書を知ったきっかけは、日経新聞の推薦図書として紹介されていたからです。(内容が難しめの本が多く紹介されている印象)

本書は、定価3200円(税別)と高価なので、図書館のリクエストで発注し、本書を読みました。(図書館の活用は節約になるのでぜひ、おすすめ)

内容としては簡単に言うと「皮膚と〇〇」といった関連のトピックを扱っていまいした。(例:紫外線、病気、ニキビ、社会的役割、民族など)

様々な側面から皮膚を見ることで、皮膚の持つ意味や歴史、社会的な役割などについて理解できる一冊だと思います。

学術的な内容かつボリュームもあるので、読破するのに、時間はかかりましたが、読む価値のある一冊だと思います。

要点

汗について

人間の脳は熱に弱く、体温調整をするためには皮膚の表面から汗を出す必要がある。汗を出し気化させることで、熱を奪い体温調整をしている。

体表には主に3つの分泌腺が存在している。

  • エクリン汗腺
  • アポクリン汗腺
  • 皮脂腺

 一つ目のエクリン汗腺から出る汗には、水分微量の塩分が含まれている。

エクリン汗腺は、全身に存在しているが、特に手のひら足の裏に集中して存在し、「ストレス」によって自律神経が強く刺激されたときに強く反応する。

手のひらと足裏に汗をかくと、皮膚表面の摩擦が大きくなるため、モノを握ると滑りにくく、戦いに備えた状態となっている。

 二つ目のアポクリン汗腺から出る汗には、水分微量の塩分に加えて皮脂成分が含まれている。

アポクリン汗腺は、わきの下や、乳首のまわり外陰部に分布し性機能との関わりが示唆されている。

ここから出る汗は、基本的に無臭であるが、たんぱく質やステロイド、脂質を豊富に含むため、皮膚表面に存在する細菌の栄養源となる。細菌によって汗が分解されることで体臭となり、個性が現れる。

自然に発せられるこの匂いには、フェロモンが含まれ、別個体に生理状態に影響を及ぼしている。

 

 最後の皮脂腺からは、皮脂が分泌される。

皮脂腺は毛包に付随し、これが分泌する皮脂は、毛根を伝わって皮膚の表面に排出され、毛と皮膚に油を行きわたらせる。防水コーティング皮膚表面を弱酸性(pH=4.5~6)に保つ役割を担っている。(皮脂に含まれる酸のため)

皮膚表面を弱酸性に保つことで、皮膚表面で繁殖する可能性を持つ危険な細菌の繁殖を抑える効果がある。

 ただ、仮に危険な菌が皮膚表面で繁殖し体内に入ったとしても、血液は弱アルカリ性であるため簡単に繁殖できないような仕組みになっている。

ニキビについて

 ニキビの原因の一つにアクネ菌が存在する。

この菌は、皮膚常在菌の一つで、脂腺導管や毛包の奥に存在し、皮脂や毛孔に落ちてきた角質を食べて生きている。

ホルモンバランス等が変化すると、皮脂の分泌が増え、皮膚表面から剝がれていくケラチノサイト(皮膚の最外層に存在する細胞)が皮脂で糊付けされた状態になり、毛孔が詰まる

この状態がニキビの初段階でコメド(面ぽう)と呼ばれている。この内、皮膚表面が閉じ、内容物が皮膚内にあるものを白ニキビと呼ぶ。

毛孔に空気中の汚れが詰まった状態で、死んだ細胞と皮脂の塊が毛孔の出口まで押し上げられ、酸化し黒っぽくなったものが黒ニキビである。

アクネ菌はコメド内部の酸素が少なく、栄養が多い環境下で急激に増える

アクネ菌が繁殖して皮脂の分解が過剰になると、免疫システムが炎症反応を起こし、腫れ上がったものが赤ニキビである

※先日、酵素洗顔を購入しました。脂質分解酵素(リパーゼ)とタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が含まれているもので、この商品がニキビに効くというのは、理にかなっていると実感しました。

皮膚にしわなどができる最大の要因は紫外線で、今すぐにでも日焼け止めを塗って対策をしよう

~その他~

帝王切開と経膣分娩の違い

銭湯は微生物の交換の場

皮膚はターンオーバーするのに、なぜ入れ墨は消えないの?

などなど、少しでも気になるトピックがあれば、本書を読んでみてほしい。

最後に

 どうして、小学生から高校生までの間、国語が苦手だったのか、今ならわかる。

それは、単純に内容が理解できなかったことに尽きると思う。

本書も学術的な内容で、わからない箇所も多々あったが、一方で自分の知っていることも多くあった。

そのため、抵抗なく読み進めることができた。

大学に行ってよかったことの一つに、自分の専門に近い領域の本を楽しく読めることがあると思う。

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